こんにちは、ろーむです。
年金額を本気で計算したシリーズの2つ目です。前回の記事はこちらで、国民年金の部分について計算過程を書きました。
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今回は3階建てと言われる年金の2階部分、厚生年金について計算過程を書いていきます。厚生年金は「報酬比例部分」に加え、公務員には平成27年9月以前には共済年金があったので、それに相当する分が「経過的職域加算分」という名目で追加されます。
1.厚生年金額の計算式
報酬比例分
報酬比例部分は以下の式で求められます。
① 報酬比例分 = 平均標準報酬額 × 0.5481% × 加入月数
平均標準報酬額は総収入額(給与や賞与の合計)を加入月数(公務員であった期間)で割ったもので、就職から退職までの収入の月平均額といえます。
② 平均標準報酬額 = 総収入額 ÷ 加入月数
①と②の式から、報酬比例分を求める式は次のように書き換えることができます。
- 報酬比例分 = 総収入額 × 0.5481%
経過的職域加算分
経過的職域加算は以下の式で求められます。共済年金制度が存在していたのが平成27年9月までなので、平均標準報酬額や加入月数はそこまでの数字になります。
報酬比例分と同じように、式は次のように書き換えることができます。
厳密にいえば、H14年度までの分は計算方法が違ったり、各年度ごとに収入額に再評価率を掛けるという要素があります。ねんきん定期便を使って計算する場合は大きな影響はないので、ここでは触れていません。
過去の収入がわからない場合
源泉徴収票を全て保管してあるなど、総収入額を把握していないと上記の式からの計算できません。その場合、ねんきん定期便を活用することで過去の収入がわからなくても年金額が計算できます。
2.ねんきん定期便の活用
令和2年度末時点で厚生年金が524,825円であることがわかります。
① ねんきん定期便の額 = 現在までの報酬比例分 + 現在までの経過的職域加算分
経過的職域加算分は平成27年9月までの収入で確定済です(※再評価率の変更による増減はあります)つまり、経過的職域加算分については個別に計算する必要はなくなります。
報酬比例分についても現在までの分はねんきん定期便の額に含まれているので、今後の増加分だけわかれば良いことになります。
つまり厚生年金額を求める式は次のようになります。
② 厚生年金額 = ねんきん定期便の額 + 報酬比例分のこれからの増額分
報酬比例分の増額分は次の式で求められます。
③ 報酬比例分の増額分 = これらかの収入の総額 × 0.5481%
自分の場合だと、これらかの収入の総額は約5,000万円です。令和3年から退職を予定している50歳までに8年間あり、その間の年収が600万円強としての見込みです。
- 報酬比例分の増額分 = 5,000万円 × 0.5481% ≒ 274,000円
これを②の厚生年金額を求める式に当てはめてみます。
- 厚生年金額 = 524,825円 + 274,000円 ≒ 800,000円
3.再評価率を考慮すると
実際には、再評価率という考えがあります。昔と今で貨幣価値が違うことによる年金受給額への影響を抑えるものです。
ねんきん定期便の額は再評価率も考慮済です。そして、再評価率は物価の動向によって変わっていくものなので、今後どのように変わっていくかはわかりません。そこで今回の年金額の計算では、今後の再評価率については令和3年度から変更がないとします。
令和3年度の再評価率は0.936なので、今後8年間の収入は全て0.936を掛けます。
- 再評価後の今後の総収入額 = 5000万円 × 0.936 = 4,680万円
この数字をもとにして厚生年金額を計算します。
- 報酬比例分の増額分 = 4,680万円(再評価後) × 0.5481% ≒ 256,500円
- 厚生年金額 = 524,825円 + 256,500円 ≒ 781,000円
年金額が、再評価率を考慮することで考慮前に比べて2万円ほど下がりました。
4.残りは3階部分の計算です
以前は3階部分といえば共済年金でしたが、現在は廃止されています。それに代わって退職等年金給付というものが新設されました。現役時に積み立てた分を退職後に受け取るというもので、iDeCoに性格が似ています。
次回はその退職等年金給付について書きます、それではまた。